痛みの種類について

結論:飛び上がる反射が起こるものと、起こらないものがある。

痛みが急性痛によるものか慢性痛によるものかを判断する基準となるのが逃避反射

飛びあがるようにして痛がる姿を見て『オーバーなヤツだな!』と思えるのは慢性痛を基準にしている。

痛みの種類についてご紹介させていただきましょう。さて、皆様は日頃日常生活をお過ごしになられていらっしゃるなかで、時折痛みを体験することがあるかもしれません。

  1. 遅刻しそうになって慌てて走っていたら脛を段差にぶつけてしまった。
  2. 転んで顔面を強打した。
  3. 椅子に小指をぶつけてしまった。
  4. マラソン大会の翌日に太ももが筋肉痛になった。
  5. 肩こりによって首元がズキズキする。
  6. 腰痛が酷くて立ち上がることが不能

痛みとは、他人から全く目にすることができません。だから、他人が痛がっている姿を見てもどれほどの苦しみなのかも想像することができません。

そして、他人の痛みを知ろうとしたときに基準とするのが自分の日常体験する痛みの度合いであるのです。例えば、ボクシングや空手などの格闘技経験者の方は日常的に他人から殴られる経験をお持ちですので、『なんだそのぐらい大したことないだろう』と考えます。石につまずいて転んだときのことと比較して、『なんだその程度ならば俺なんか顔から出血したこともある。』このような感じで自分の体験と重ね合わせて相手の状態を想像します。

ところが良く発生状況を振り返っていただくと、転んで顔面を強打したときは、まず鋭い痛みが一瞬だけ発生して、その後遅れてズキズキする鈍い痛みが起こっているのです。しちなみにこの後から遅れるように発生する痛みのことを慢性痛と呼び、最初に発生した鋭い痛みのことを急性痛と表現することができます。そして、我々が記憶として認識しているのは多くの場合は後者のズキズキする痛みだけであるのです。したがって、他人が痛がって飛び跳ねている姿をみたときに誰しもその人がオーバーアクションをしているように感じられてしまうのです。

痛みの目的は主に2つ、危険の警告、動作の抑制

でも不思議には思いませんか?なぜこんなにも辛い痛みを私たちは感じるのか?気持ちよい感覚や心地よい感覚だけあれば人は満足して生きて行けるのでは?このように思えたりもします。

もちろん、そのとおりです。気持ち良いという感覚だけあれば我々は幸せを感じることができますので生きて行くことは可能です。ただし、我々は生活を営んで行く上では外に出て働く必要性がありますし、食物を手に入れて栄養を取り入れる必要があります。そこでは、人間も自然界の仕組みである食物連鎖の一部として他の動植物と命の奪い合いをし、そこで勝ち抜いているからこそ、毎日の生活を営むことができているのです。

つまり、栄養素を手に入れるため、本来ならば他者と命を奪い合うことは必然的なものであり、決して避けて通ることができないことでもあります。つまり、我々は完全に忘れてしまっておりますが常に危険と隣り合わせであることが本来の生きる姿でもあるわけです。

では、この危険をできるだけ少なく済ませるためにはどうしたら良いでしょうか?

危険が迫っていることをいち早く体に知らせることが必要なはずです。このいち早く知らせる役割を果たす警告信号が痛みであるのです。

また、痛みには動作を抑制する役割もあります。熱い火箸を触ったとしましょう。そのときには痛みが発生した瞬間は電撃が走るように、認識して咄嗟に手を引きます。これは反射と呼ばれるシステムであり、鋭い電撃が発生したとともに手を引っ込めるように体の筋肉が動作を起して障害から体を守っているのです。

でも、必ずしもこの反射が全ての痛みで発生するわけではありません。ちなみに、皆様が日頃どこかに体をぶつけたり・熱いものを持った瞬間に手を引っ込めるような反射は、急性痛のときにだけもたらされるものであり、慢性痛の場合はズキズキと痛いのですが、飛びあがったり・咄嗟に手を引っ込めるような急激な反射は生じることなく済んでしまいます。臨床に措いても、ぎっくり腰になられても腰に手を当てて擦りながら自力で院まで歩いてくることのできる方はどちらかと言えば慢性痛の兆候をもっており、歩行不能な状態に陥っている方はこの急性痛がメインになっているのです。

擦ったり、他の事を考えることで解消されるのは慢性痛。急性痛はごまかせず。

おそらくは、今現在痛くて立ち上がることにも苦痛を感じていらっしゃるようでしたらそれは急性痛の疑いがあることでしょう。そして、痛いのだけれども立ち上がってなんとか行動することができるのでしたら慢性痛の可能性があります。

急性痛はAδ(Aデルタ)線維、慢性痛はC線維が痛みを送る。

急性痛と慢性痛では、痛みの伝わり方が異なります。前者はAδという神経を痛みの信号が伝わって行き、後者の場合はC線維という細い線維を痛みが伝わります。そして、ここからが重要です。

Aδは主に外骨膜に多く存在し、Cは骨膜、筋膜、関節包、血管など幅広い部分に存在する。即ち鋭い痛みの多くは骨性の痛みであることを物語っている。では、骨膜に刺激を加えているのは?

つまり、もし仕事に行くことが不可能であり、寝たきりや自宅生活を長年余儀なくされるほどの急性痛にお悩みでしたら、その痛みの出所の多くは骨膜性のものであるのです。

ところで骨膜とはどのような物でしょうか?

骨膜は、フライドチキンなどをお召し上がりになったときに骨にむしゃぶりついていただくとその表面に薄い膜のような組織がありますがあれのことであると思っていただければよいでしょう。つまり、もしこれにお悩みだとしたら、骨膜に対して何らかの刺激が加わっていることを物語っているのです。例えば固いイスの座面、または骨膜の上にある筋肉などが何度も骨膜を刺激することで痛みを生じさせたり、体のアライメントの異常によりこの部分に過度のストレスが加わってしまっていたり、私達整体師の手技にも幾つかのパターンがありますが、主に痛みを取り去るときの手技には刺激を送り込む際の深さが関係しており、この骨膜上の筋肉をリリースさせるために深い刺激を送り込むことが重要になるのです。

また、お客様がリラクゼーションをお求めになられる場合などに用いる心地よいと感じられる感覚は、この慢性痛から痒みなどの不快な感覚を取り除いたものを気持ちよいと認識されているのです

急性痛対処のポイントは該当部位の骨膜に隣接した筋やその部位に過度な負担を加える要因を取り除くこと。

急性痛の対処は簡単です。なぜならば、患者自身が指を差して示せるほど痛みの局在が明らかであるからです。どのようにすれば該当部位に安全にアプローチできるのかさえ分かっていれば大抵は対処できます。ところが慢性痛の場合はこのように上手くは行きません。痛みの出所は不明瞭であり、それが本人に分からぬから我々整体師の存在意義があるのです。

つまり、整体師は急性痛に関してはどのようにアプローチをするかがポイントとなり、慢性痛に関しては原因の特定がポイントとなっているわけです。