ぎっくり腰で痛みの場所が不明瞭なのは?

結論:疲労性の痛みが大部分を占める。ぎっくり腰の6割が痛い場所が不明瞭である。

ぎっくり腰では、自分でも腰の痛みの出所が分からないことがあります。
頭を抱える女性
腰が痛いのですが、痛い場所を示すことができません。例えば指でハッキリと指し示すことができないケースがあります。
腰が痛い

こういった腰の痛み方に遭遇すると、不気味に思えてしまい、周囲にアドバイスを求めたり、ネットで情報収集をしたくなるものです。

情報収集すると

ところが、情報を収集すると、逆に余計に不安が増大することがあります。ネットの投稿板でアドバイスを求めると、不安が余計に強まってしまいます。例えば、以下のようなアドバイスを受けます。

◆ネットでありがちなアドバイス

  • 「すぐに病院に行け!」
  • 「精密検査は受けろ!」
  • 「自己判断は厳禁だ!」
  • 「家で寝ていろ!」
  • 内臓の病気かもしれない!」
  • 「それはだ!」

以上のようなアドバイスを拝見すると、さぞかし心が慌ててしまうことでしょう。例えば「癌だ!」とか、「内臓の病気だ!」とか、「タクシーですぐに病院で診てもらえ!」などと聞かされると、さも自分がすぐに命を落とすように思えてしまいます。

ネット上にはこういった不安を助長する内容がたくさん記されています。ところが腰の痛みを訴える患者が病院を受診すると十中八九は、「大したことがありません。」、「ただの腰痛です」などと軽傷であると診断をされます。

炎症によって出所がハッキリする

痛みはメカニズムとして、「炎症」と「発痛」の二つの作用から成り立っています。私たちがデスクワークなどで腰に疲労を蓄積し、腰に無理をかけると、次第に腰がチクチクと痛くなってきます。これは腰に蓄積した「発痛成分」による痛みです。痛みの場所が不明瞭なときには、多くが発痛成分によって腰のどこかが痛くなっているのだと思われます。腰に疲労が蓄積すると、悪い箇所を知らせるために発痛が起こります。

疲労が蓄積した腰の筋肉はやがて、血流が乏しくなって筋肉の働きが弱ります。すると筋肉が傷つきやすくなり、筋肉を構成する線維に「炎症」が起こります。
腰の炎症
炎症には知覚過敏作用があります。知覚過敏が生じると、痛みを倍増させます。腰に発痛が現れ、それが炎症によって鋭敏に感覚を引き上げられ、ようやく痛みの箇所がハッキリと強調されます。

つまり、ぎっくり腰の「なりかかり」だったり、多くの「軽い腰痛」では、痛みの出所が自分でもボンヤリとして分からないのです。少なくとも指で示せるような腰の痛み方を伴いません。

ぎっくり腰になったときには、当院で見る限りは全体の「6割」が出所がハッキリと分からない痛み方をします。

疲労性の痛み

こういった出所の分からない痛みはぎっくり腰全体の6割に当たります。古典的な、重たい荷物を持ち上げて起こるぎっくり腰は全体では4割未満の少数の発生に当たります。
古典的な重たい荷物をもつぎっくり腰

古典的なきっかけのものは決して少なくはありません。しかし、発生数としては全体の過半数以下に当たるものです。過半数以上を占めるのは、どちらかと言えば痛みの出所が漠然として、ハッキリしない痛み方をします。ハッキリしない痛みの多くが、皆さんが日常でデスクワークなどをしたときに起こる、腰の疲労からもたらされるものです
デスクワークの腰痛
もっとも典型的な腰痛が疲労性の腰痛です。

どうしても不安なら

痛みの出所がハッキリしない不明瞭なぎっくり腰になったときに、それが典型的な疲労によるものだと頭では理解できたとします。しかし、どうしても心配でいられない方もいることです。万が一の大病の可能性がないかを知りたい方もいることです。例えば、
「早く安心したい!」
不安の強い女性
このように安心を強く願う方は、医療機関を受診して精密検査を受けてみることが良いでしょう。ただし、安易に医療機関を受診すると余計に不安が強くなる方もいます

例えば90歳ぐらいの高齢者では、医療機関で精密検査を受ければ、日ごろから悪いところの一つや二つは必ずあります。すでに心臓が衰弱していることもありますし、内臓が衰えて小さく萎んで「萎縮」をしていたり、二つある腎臓の片方が肥大していたり、血液検査に異常を見たり、悪いところをいくつも持ち合わせており、不安が助長されるだけの方もいます。もうすでに手のほどこしようのない方もいます。不安が強くなるだけで、自分ではどうすることもできない場合はそもそも検査を受ける必要はありません。

病院の前提条件

安易に病院を受診するようにアドバイスする方が多いですが、仮にどのような病気や怪我であっても、「病院依存」は誤りです。病院が病気や怪我を治してくれて、皆さんを健康にしてくれることはありません。

病院を受診する以前に大前提があります。それは以下の3つを適度に保つことです。

◆病院受診の前提条件

  • 十分な「食事」を摂る
  • 必要十分な「睡眠」を摂る
  • 適度な「運動」をする

すなわち、健康の基本条件である「栄養」・「休養」・「運動」、これらを適切にとっていただくことです。この基本条件を欠いた状態で医療機関を受診しても意味のないことです。

ところが臨床上には、この前提条件を無視して医療機関を受診する患者が山ほどいます。食事をおろそかにし、浴びるほど酒を飲んだり、たばこを一日3箱も吸っていたり、寝ている時間をおろそかにしていたり、疲労が蓄積していても体を休ませていなかったり、運動不足を日ごろから実感していたりします。

基本の3条件をおろそかにして医療機関を受診しても、治る病気も治りません。

腰が痛くなったときに、ネットで情報収集をして対策を図りたいでしょう。だけど、まず基本に立ち返ってください。自分で思い当たる不摂生があれば、それを先に改善しない限り、医療機関を受診しても治ることはありません。無駄な受診になってしまいます。

運動の代わりに

健康の基本三条件には「運動」があります。ですが、ぎっくり腰中には腰が痛くてとても運動どころではありません。
腰が痛い男性、運動が出来ない

この場合には、運動の代わりに体を「温めて」ください。目安として寒気を感じることなく体温が35~37度代に留まるような温度に温めましょう。

決して体を加熱して、蒸し焼きにするわけではありません。冷えた体を普通の温度にするように心がけてください。すなわち、屋外に外出するなら、寒さを感じないぐらいの服装を心がけましょう。屋内では寒さを感じないぐらいの温度へと、ストーブなどを使って温度調整をしてください。

本来ならば、運動が必要な理由は、体を動かして熱を作るからです。ストーブなどで温めても熱を作ることはできます。しかし、ストーブの熱は血流が活性化されません。ところが運動で筋肉を動かすと血液に流れが生じます。血液の流れが活発化することで人の体は元気に過ごせるわけです。ぎっくり腰中は腰の痛みを助長しないぐらいの動きに留めて優しい体操をすると治りが良いです。

1%未満

不明瞭な痛みを起こしたときに、皆さんが最も不安を抱くのは、内臓の病気や、腰骨に癌が転移するなどの、「命に関わる病気」だと思います。
闘病中の人

これらの命に関わる病気が腰に起こることは、全体では稀なことです。1%未満です。0コンマ以下の確率だと考えてください。現実的にはあまり過度に心配されると、気を病んでしまうリスクの方が高いです。例えわずかな可能性でも心配でいられない方は、医療機関を受診して徹底的に精密検査を受けるべきです。しかし、先にも言った通りで、ぎっくり腰になったときに不明瞭な痛み方をするものは過半数以上を占めます。これでは腰痛になるたびに腰の不安で精密検査を受けることになるでしょう。

皆さん個人単位では、病院で精密検査を受ければ気が済むかもしれません。しかし、同じ考えの人が世に無数にいることを考えてください。検査の必要のない軽傷の方が、不安に駆られて医療機関で精密検査を受けたら、どうなってしまうでしょうか?

「個人」ではなく、国民「全体」として考えてみてください。

国民全体で考えたときに、国にとってプラスになるでしょうか?プラスになるなら受診しても良いでしょう。しかし、大部分は医療費の無駄になります。医療は無限ではありません。国民が出し合った貴重な血税によって成り立っています。

したがって少々の可能性のために、精密検査を受けるのはオーバーな対応であると言えます。「やりすぎ」です。

また、ぎっくり腰になったときのアドバイスでは、
「仕事は休んだ方がいい!」
「家で寝ていろ!」
寝ている人
と、自宅で療養するアドバイスをしたがる方もいます。
しかし、これも個人単位で考えるのではなく、社会全体として考えてみてください。寝て休む分だけ、患者の収入も減るでしょうけど社会全体の収入も減ります。いま日本で何万人もの患者がぎっくり腰で休んでいるはずです。これは社会にとってマイナスですよね。軽症のぎっくり腰で寝て家で休んでいたら、社会の経済活動にとってどれほどのマイナスとなるでしょうか?

寝て休むようにアドバイスする方は多いですが、それは誰のメリットにもつながっていません。

長く寝ても

寝て休んだり、休養を取ることは健康を保つ基本条件の一つではあります。しかし、臨床上を見ると、「寝て休む」ことが、むやみに重視されて、「一人歩き」をしている傾向があります。

寝ていることは、基本条件ではありますが、多く休んだからといって回復が促進されることはありません。先にも言ったとおり、日本中のぎっくり腰の患者さんが、寝て休む選択肢を選ぶと、社会経済にとって1円のメリットにもつながりません。長く寝ても治癒の速度は同じです。寝ていて回復力が高くなることはありません。

仮に腰痛の方であってもむやみに寝ていないでください。睡眠不足なら、不足を補う程度に休養を取ってください。休養を多くとっても回復には何の影響もありません。むしろ寝ていることは皆さんにとっても社会にとってもマイナスになるのだと考えましょう。

また、皆さんの周りにぎっくり腰の患者さんがいたときにも安易に「寝て休め」とは言わないでください。それは誰のメリットにもつながらないです。「寝て休め」というアドバイスはもっとも安易な発想だと考えるべきです。

気を付ける人

しかし、万一にも内臓の病気や、得体のしれない疾患の可能性はあります。そこで目安として気を付けていただくことを紹介します。どこが痛いのか不明瞭な腰の痛み方をしたときには下記を参考にしてください。

◆不明瞭な痛みで気を付ける人

  • 過去に何らかの内臓の病歴がある人
  • 妊娠中や生理中の人
  • 闘病中の人
  • 体力が衰えている人
  • 高齢者
  • 日ごろの不摂生や疲労に思い当たるところがない
  • 2週間以上痛みが続いている人
  • 痛みが強くて我慢できない人
  • どのような体位になっても痛みが変化しない人

特に上記で大切なことは、一定期間様子を見ていただくことです。2週間ほど経過しても腰の痛みが軽減する気配がない場合は、医療機関で検査を受けることを推奨します。あまり早くに精密検査を受けても無駄になることが多いとご承知ください。例外として、痛みが強くて緊急性のある方は地域の緊急当番病院を受診することも適切な判断です。

無駄な人

次に医療機関を受診しても高い確率で無駄になる人についてです。以下に当てはまりませんか?

  • 腰が痛くなるきっかけの自覚している人
  • 傷めた瞬間をハッキリ自覚している人
  • 明らかな不摂生がある人

上記に当てはまる人は、不明瞭な痛みが腰に起こったからといって、医療機関を受診しても、医療費の無駄です。例え、不安があっても国の予算を使う行為なので、「モラル」が重要です。安易に保険医療を使えば、国民全体の迷惑です。一定の様子を見てください。

対応対処

「対応・対処」カテゴリーを区分しました。

急性期の腰痛対処①

急性期の腰痛対処②

急性期の腰痛対処③

医療機関の対処①

⑤2

ケア・予防

手技

腰痛対策

腰痛対策②

コルセット