ぎっくり腰はどこで痛みを感じているのか?

痛みはどこか?

ぎっくり腰や腰痛の多くは「椎間板が後方に飛び出して腰の神経に触れている」とか「靭帯の捻挫」だとか言われているが神経はよほどグリグリと押し付けたり、持続的に圧迫しないと痛みや痺れは起こさない。本当の理由は椎間板線維輪最外層や後縦靭帯に豊富に分布する自由神経終末の痛みであり、発痛成分の化学的影響で痛みがさらに敏感になっており、さらには無血管組織であるため抗原抗体反応がすぐに生じることから顕微鏡レベルの損傷でも激甚を訴えやすいが発痛成分を患部から除去することで劇的に痛みは治まることが多い。

多くの文献でぎっくり腰の痛みは椎間板が神経に触れて発していると記されている

ぎっくり腰の痛みの出所はどこなのか?かつて、ぎっくり腰の痛みの出る部位についてすでに触れていると思います。しかし、具体的には腰の痛みとはどの部分のどういったところから出るのか?これにはまだ触れていないと思います。今日はこれについてお話させていただきたいと思います。ここでいうぎっくり腰とは腰椎椎間板ヘルニアなど様々な部分が原因になるものが含まれます。一般的な文献を読みますとぎっくり腰や腰痛とは
「腰椎椎間板ヘルニアが多く椎間板が本来の位置から飛び出して腰の神経に触れているから痛みを発する」
などと記されているはずです。また、ものの本では腰の補強靭帯の捻挫だとも言います。

椎間板が潰れて腰の神経を圧迫しているというが・・・

これらの文献が記すことを図に示しますと以下のようになります。

椎間板の突出椎間板の一部が図の赤丸のように後方に飛び出して腰部の神経を圧迫することで腰に痛みを生じているといいます。多くの文献で腰の痛みの原因はこうだと記しておりますので、ある意味でこれと異なる別の理論を言えば異端児扱いされるのが多くの現実です。したがってあえて多くの治療家の先生は本当は別の原因だと思っても、
「う~んこれは椎間板が腰の神経に触れているのかもしれません」
と質問にお答えされるのだと思います。細かく説明をしだすと時間が掛かりますし、医学知識を持たない患者様に一からそういった細かなお話をしますと酷く混乱を招きます。ですから私が先生の立場だったとしてもそのようにお答えすると思います。ある程度の定型の定まったことを言った方が説明も統一性があり説得力もありますから臨床上多くの先生が同じような理論を口にされているはずです。

神経は鞘に包まれており触れる程度では痛みは発しない。

ところが現実にはこの理論は大きく異なる理論です。私達治療家の先生、また文献を出版している医学者の多くはどうしても説明を割愛する都合で「椎間板が腰の神経に触れている」と言う説明を用いたがるものなのですが本当のところは椎間板が神経に触れているから痛みを発するは間違いであることはすでに多くの先生が知っているのです。

なぜならば神経とは鞘(神経鞘)に包まれており、椎間板が触れるぐらいでは神経の促通が遮断されてしまうようなことはないからです。

例:尺骨神経はグリグリしたり、長時間圧迫することで痛みや痺れを発する

その理屈を例に挙げると私達の肘の内側のデッパリ(内側上顆)の裏側には尺骨神経というものが走行しております。

尺骨神経肘の内側にある内側上顆の出っ張りの図、このデッパリの裏を尺骨神経が通る

この神経はとても触りやすい神経ということで有名なのですがこの内側上顆の裏側を軽く指で触った程度ではおそらく尺骨神経に痛みは来たしません。グリグリと結構な圧を加えますと痛みを訴えますし、この部位を肘掛などに押し付けておりますと次第に痺れを来たしてきます

つまり腰部で椎間板が少し触れた程度で痛みを発することはなく、椎間板が割れて中から髄核という芯が飛び出すぐらいになって初めて強烈な痛みを訴え、痺れが発するのはさらに圧迫が強くなってから生じるわけです。

椎間板線維輪の破断椎間板が割れて中から髄核が飛び出している図、ここまで神経が圧迫されると強烈な痛みとなる。

腰の痛みは椎間板最外層後縦靭帯

ではどうして腰は痛くなるのか?痛みはどこで感じているのか?

これは実際のところは椎間板の周囲を取り囲む線維輪の最外層や後縦靭帯というところに豊富な自由神経終末という神経の網が分布しており、そこで痛みを感じ取っているわけです。

椎間板線維輪最外層と後縦靭帯腰椎を横から見ている図、腰椎と腰椎を後方で縦に結び付けているのが後縦靭帯、そして前方の椎間板という背骨の隙間のクッションを包む線維輪(幾重にも重なったタマネギのような組織)の最外層に自由神経終末が豊富に分布します。後縦靭帯と椎間板は後方で十字のクロスをして結びついておりますので線維輪と椎間板の連結部分は特に物理的なダメージに脆い特徴があります。元々ダメージに脆い場所で尚且つ自由神経終末が豊富に分布していることからも椎間板の後方は特に痛みに敏感な部分であると言えます。

ぎっくり腰を繰り返したり、慢性腰痛患者では椎間板内部に自由神経終末が伸びて入り込んでくる。

また、椎間板の外層に神経が沢山分布しているわけですが、何度も椎間板にダメージを与えておりますと椎間板が次第にボロボロになってきます。すると椎間板の最外層を覆っている神経がニョキニョキと椎間板の線維輪の隙間(タマネギの中の層に伸びて拡がってくる)に入り込んできます。

すると慢性期の腰痛患者では椎間板に衝撃が加わったり体重による圧迫がしばらく続くと腰に激痛を発してしまうことがあるわけです。

線維輪の隙間に神経が伸びてきた図慢性腰痛患者の椎間板の図、椎間板の線維輪の層の隙間に自由神経終末が入り込んでくる。すると痛みに敏感になる。

組織の損傷はあくまでも軽微なもの。顕微鏡レベルである。

ここまでで腰椎の椎間板や後縦靭帯などに神経が一杯あって、そこが痛みを感じやすいということはお分かりいただいたと思います。しかし、ぎっくり腰や腰痛の多くのものは実際のダメージはどのぐらいなのかと申しますと多くの場合患部の損傷とは外観から見ることはできませんが、顕微鏡で見てようやくわかるぐらいのミクロな損傷であることがほとんどです。先に軽く述べた靭帯の損傷も含めてそうですが、軽く損傷があることは確かなのでしょうがその損傷の度合いはそもそもが顕微鏡レベルのものであり、「損傷はない」と言っても過言ではないぐらいのものが多いです。実際のところはほとんど無視しても良いぐらいの損傷レベルのことが多いです。ただし、痛みに敏感な部分なので派手に腰が痛くなってしまうことがほとんどです。

椎間板や靭帯は無血管組織のため抗原抗体反応が起こりやすい。

また、椎間板や靭帯が痛みを訴えやすい理由のもう一つの理由として、これらの組織が無血管組織であることにも起因します。無血管組織とは。血管が分布されておらずリンパ液から栄養を受けていることを言います。血管から栄養を受けているものと、そうでないものの違いはパスポートを発行してくれるかどうかの違いになります。免疫細胞は血液から栄養を受けている組織には必ずパスポートを与えており、パスポートを持っていない組織が血液中などに遊離して流れ込んでくるとすぐに免疫細胞がそれを見つけて駆けつけてきます。そのため元々血液からパスポートを貰っていない椎間板や靭帯はミクロな損傷を受けて細胞片が僅かにでも遊離して周囲に散らばったときにすぐに免疫細胞が細胞片を炎症反応でやっつけてしまいます。この敵か味方かをパスポートの有無で判別して攻撃する反応のことを抗原抗体反応と呼ぶのです。椎間板や靭帯はほんの僅かにでも損傷を負ったときに敵の判定をすぐに受けるため痛みが甚大になってしまうわけです。

痛みと損傷の度合いは一致しない

どうでしょうか?腰が痛くなってしまうのは決して損傷の度合いが甚大だからではなく、あくまでも神経が沢山分布しており、炎症反応が起こりやすい部分だからというだけなのです。痛みと損傷の度合いはほぼ一致せず派手な痛みであっても患部の血流を良好にして患部から発痛物質を速やかに除去するだけでスキップが出来るほど改善してしまうことは余りにも多くあり、私はそれを毎日目の当たりにしているのです。

多くの方がぎっくり腰や腰の痛みが良くなったとご満足の声を残して下さっておりますので是非ともお困りになられたときにはご相談なさってください。