端的に言えば、「腰が休まる」からです。腰痛持ちの方では、寝るときに多くの方が無意識に膝を立てて寝るはずです。高齢者の寝ている姿勢でも、膝を立てる方は大勢います。また、私がぎっくり腰の対処で出張整体したときにも同様に、多くの患者さんが膝を立てて寝ています。
実際に、腰の疲労の回復を早める効果がありますし、腰が痛い方でも膝を立てると楽に過ごせます。慢性腰痛をお持ちの方でも小まめに膝を立てて、腰痛をやわらげて日常を過ごせる場合もあります。
密着
では、どうして膝を立てるのが良いのでしょうか?簡単に言えば、腰が布団と密着するからです。
例えば足をまっすぐにした状態と、膝を立てた状態で「腰の反り具合」を比較してみてください。
足をまっすぐにして寝ると腰の下に隙間ができます。手が隙間にスッポリと入るはずです。ところが膝を立てると、腰の下の隙間がなくなります。
全く手が腰の下に入らない人もいますし、かろうじて入る人もいます。隙間は確実に狭くなるはずです。
極端な例では、足をもっと高くしてみてください。
股関節を深く曲げて足を高くするほど、腰がピッタリと床と密着して楽ちんです。楽ちんだと、腰がリラックスします。短時間で腰に十分な休養を与えられ、腰痛が和らぎます。立ち仕事をする人は、昼休みの休憩中に足を高くしてみてください。腰の疲労が抜けて、一日元気に働けます。
腰が密着する理由
ではどうして股関節を深く曲げるほど、腰が密着して楽ちんなのでしょうか?これは骨盤が後傾するからです。
膝を立てて足を高くするほど、骨盤が後ろに傾きます。骨盤が後傾を強めるほど、腰骨が床と密着します。密着するほど、力が抜けて休まります。高いリラックスが得られ、腰の回復を高めてくれます。
ところが、足をまっすぐにして寝ると、骨盤が前傾します。
骨盤が前傾すると、その上につらなる腰椎も前に引っ張られます。そして腰に反りをもたらします。腰が床から浮き上がると、浮いた腰を支えるために筋肉が緊張を強めます。腰の疲労を助長する結果となるので、腰痛のときには膝を立てて腰の疲労を緩和しましょう。
注意点
今回は、膝を曲げて足を高くすると、良い理由についてお話しました。注意事項がいくつかあります。以下に列挙します。
- 足を冷やさないように注意する:冬場に足を高くしていると、足が冷気にさらされて冷えてしまいます。毛布で足を覆いましょう。
- 布団を敷く:フローリングに寝そべるのは絶対に止めましょう。冷えは万病の原因です。症状が悪化しますので、体の下に「断熱材」となるものを必ず敷いてください。
- 尻が浮き上がるまで足を高くしない:足を高く上げすぎると、最終的に尻が浮き上がってきます。
尻が浮かぶほど足を高くすると、炎症している腰が強く刺激を受けます。足を挙げるのは尻が持ち上がらない程度に留めます。やはり、ものには限度があります。膝を立てて足を高くするのも、ほどほどに留めましょう。 - 長時間足を高くし続けない:膝を立てたり、足を高くしたりと、膝や股関節を常に曲げて長時間過ごすと、次第に関節が曲がったまま伸びなくなります。多くの高齢者がそうであるように、立位になっても膝や股関節が曲がって過ごすようになります。
膝が常に曲がった癖がついて伸びなくなるのを拘縮(こうしゅく)と呼びます。拘縮を起こさないように、ときおり立てた膝をまっすぐに伸ばしましょう。曲がった癖を意識的にまっすぐに戻すように働きかけてください。
膝を立てて寝るのが良い理由についてでした。取り入れると疲労の早期の回復が望めます。これまででしたら、仕事で一日働いて腰がつらかった方でも、腰の回復を促進できます。何とか一週間を乗り切れる方もいるはずです。週末はしっかりと体を休めてください。そして体力作りにも取り組みましょう。ひざ下枕を皆さんにおすすめします。
美しい寝姿勢をサポートして、腰の反りを緩和します。腰痛の改善にぜひおすすめしたいです。