ぎっくり腰と重心の関係

結論:重心を低く構える。体の中心に来るようにする。

ぎっくり腰は力を有効に発揮できないことで生じる。
したがって重心を意識する。
重心とは

  1. 体があらゆる方向に自由に回転しうる点、
  2. 身体各部の重量が相互に平衡である点、
  3. 基本矢状面・基本水平面・基本前頭面の3つが交差する点。

ぎっくり腰と言いますと、
つい体力のひ弱な女性や、
高齢者のなってしまうもの。
力仕事をする男性がなるもの。
このように限られた方にだけ起こるイメージを抱いてしまう。
しかし、そうではない。
意外なことに力仕事とは無縁の方にもおこります。
例えばデスクワークに多く発生します。
しかし、一番大きな側面は力学的な要因です。
そして力学ではもっとも重要なことがある。
無視することができないのが重心です。

力を有効に使えないことでぎっくり腰が起こる。

重心がどうしてぎっくり腰に関係するのか?
それは力を有効に使えないから。
力を使えないからぎっくり腰が起こります。
力が不利に働く。
すると、ぎっくり腰が起こってしまう。
こういうものだと思ってください。

重心の条件①体があらゆる方向に自由に回転しうる点

では重心とは具体的にはどういうものか?
いくつか条件があります。
これから上げてゆきましょう。
重心は目に見えないものです。
それ故に無視されてしまいがち。
ですが理解しておくと正しい動きの目安となることでしょう。

1つ目の条件ははこれ。
体があらゆる方向に自由に回転しうる点

例えば鉄棒です。
図をご覧になってください。

鉄棒で回転するとします。
両手を伸ばした状態から図の円に沿うよう回転する。
前方でも後方でも良いです。
回転することはできますでしょうか?
猿ならお手のもの。
ですがきっとできません。
これは持っている握り部分と、
体の比重の最も重たい部分が離れているため。
図は例え話であり本当に実施しないでください。
怪我をするリスクがあります。

ところが次の図をご覧ください。

この図のようにヘソ下が鉄棒に密着する位置。
こうなるとかなり多くの方がグルンと回転できます。
後はお尻を持上げたり足を振上げる動作のタイミングです。
タイミングさえ合えば成人の体力ならばできるはずです。

このように両者を比較する。
このときに明らかに回転しやすいところにある。
それが重心であると思ってください。

腕力が幾らあっても直線的な力で回転運動にはならない。

物体は回転運動をすることで力の方向を集中させるできます。
そして重たい胴体を自由自在に動かせます。
手足が幾ら筋肉がモリモリでも回転しなければダメ。
直線的な動きでは効率的な動作にはできません。

例えば柔道や重量挙げの選手のように筋肉がムキムキだった。
それなら腕力で胴体を引き寄せることができます。
ですが、せいぜいしがみつく程度です。
胴体を僅かに数十センチ動かすぐらいでしょう。
発生させられる力は直線的です。
加速が付きません。
だから何も利用につながりません。

回転運動を発生しやすくするためにロンベルグ肢位を取る

大きな胴体をコマのように素早く回転する。
だからこそ加速によって強い力を生じさせる。
これによって思う存分に動くことができるのです。

ぎっくり腰を患ってしまう方には共通点があります。
それは家事や仕事で水平に回転している。
水平回転を重視したスタンスを取っている。
足幅を狭くしたロンベルグ肢位を取っております。

ロンベルグ肢位
ロンベルグ肢位とは足幅のスタンスを極端に狭くすること。
コマの軸のように機敏に回転する。
回転することを重視した構えです。
多くの方が多忙な毎日を過ごされている。
『手足が何本も欲しい』
こうお思いになられることだと思います。
そのときには無意識に自由自在に回転させられるポジションを選ぶ。
重心位置の安定したポジションを無意識に選ぶ。
ためにそのようになっているのです。

ロンベルグ肢位は水平に対応、縦回転には向かない

ところがロンベルグ肢位は問題点があります。
水平に回転するのには向いています。
ですが、縦回転をするのには不利だということ。

問題になるのは水平回転を重視したポジションのときです。
このまま急に腰を屈める。
すると不安定になります。
だから安定を保つために腰の筋肉が過剰に緊張する。
緊張した筋肉が抵抗となる。
抵抗が動きを妨げてしまう。
このまま無理矢理動くと腰の負荷となる。
結果的にぎっくり腰をもたらすわけです。

ロンベルグは水平には良いです。

ところが縦に回転する前屈ではとても不安定。
安定を保つために腰の筋肉に緊張が生じます。

この緊張が抵抗となる。
そして腰に負荷を与えぎっくり腰が発生するわけです。

縦回転に対応したオープンスタンスに変化する

ではどうしたら腰の負担を軽減できるのか?
ここでは足幅を前後に大きく開いてみる。
オープンスタンスを取っていただくことです。

足幅を広くして安定を高めます。
すると前後に腰を屈める動作が楽になるはずです。
体を回転しやすいスタンスを取っているときには、
重心が安定している。
こう思っていただければと思います。

②身体各部の重量が相互に平衡である点

次の条件を挙げますと、それは
身体の各部の重量が相互に平衡である点
です。

左右均等に立っているとします。
このときには各部の重量は相互に平衡が保たれております。
安定が高い。
ですので足腰の筋肉が力まずとも立ち続けられます。
この状態が続けば疲労度は少ない。
そして、ぎっくり腰の発生を防止できます。

動くことで左右の重量の平衡が変化し、胴体を傾けて補う。筋肉の不均衡を生じさせる。

ところが立ったままでは何もできません。
必ず動きます。
動けば左右の重量が変わります。
左右に偏りが生じます。
だからそれを補うために筋肉に緊張を強いるのです。

左手を持上げると体が右に傾く
例えば片手を持上げます。
すると左右の重量が不均衡になります。
左腕が外に出た分だけ左半身に体重が偏る。
無意識で偏ったバランスを立て直そうとする。
そして胴体を右に傾ける。
こうすることで均衡を保とうとします。
するとどうでしょうか?
右足に体重が乗っております。
だから左足を軸に体を回転させることができません。

右半身が緊張する
右足に体重が乗る。
この状態を保つために右半身に緊張が生じます。
すると常に右半身に肩こり、腰痛、膝痛などが起こる。
数多くの不調を来たすようになります。

多くの方の不調をみると必ず左右どちらかに偏って発生します。
そういったことがあると思います。
ですが、それはその方の偏った体の使い方によるもの。
日頃の些細な体の使い方を見直してみましょう。
そうすると重心の偏りを生じる何かがあります。
ですので意識して修正していくことが大切です。

女性は骨盤の横幅が広いため、体重を片足に預けて補うことが多い

こういった左右の偏りを意識してみます。
すると身の回りにいる女性の多くに偏りが見られます。
『クネンクネン』
と、体を常に片側に傾けている。
こうして過ごしていることを目の当たりにするはずです。

これは手を動かしたときの体重の偏りが細身ほど大きいから。
特に女性は出産に備えてもともと骨盤の横幅が広いです。
だから体勢を傾けるのにより大きく体重移動をしないとなりません。
細身ほど上半身をクネンと反対側に無意識に傾けます。
これにより片側に不調を引き起こしやすいわけです。
線の細い人ほど偏りが大きくなる。
このことをまずは意識してください。
偏り補うために左右を上手に使いましょう。

③基本矢状面・基本前頭面、基本水平面の3面が交差する点

次の条件としましては、
基本矢状面・基本前頭面・基本水平面の3面が交差する点
になるということです。

基本矢状面
基本矢状面とは正中線に沿って体を左右に分断する面のこと

基本水平面
基本水平面とは体を上下に2分する面

基本前頭面
基本前頭面とは体を前後で二分する面のこと。

これらの3つが交わるところに存在するのが、回転運動の軸となる重心となるわけです。

矢状・水平・前頭面の交差する点
3つの面が交差する部分にあるのが重心です。

座っているとき、寝ているときでも重心は高さや位置が異なります。
ですが3つの面が交差するところに安定の要である重心がある。
こう思ってください。
そうすると安定状態を知るための目安となることでしょう。

そして、ぎっくり腰の防止を図る上では、重心位置を

  1. 低くする
  2. 体の中心に来るようにする

これが安定を高めて余計な足腰の負担を軽減します。
そのために不可欠。
こうお考えになっていただければと思います。
それでは最後までご覧になってくださいましてありがとうございました。